教えてスクリュー博士!

普段、目にすることのないスクリューという製品。しかし、実はスクリューなしでは多くの製品が存在し得ません。 
私たちがよく知っていて、日常的に使用しているあんな商品やこんな製品の製造現場では、スクリューが欠かせない存在となっています。スクリューの性能一つで、製品にはさまざまな付加価値が与えられるのです。 

Q:押出機スクリューってなに?  

A :押出機スクリューは、プラスチックやゴムなどの材料を押し出すために使用される装置の一部です。押出機スクリューは、長い金属製のスクリューシャフトで構成されており、その表面には螺旋状の溝があります。 

押出機スクリューがセットされた機械に入れられた材料は、スクリューの回転により一方向に送られ、高温・高圧状態で加熱され溶けていきます。その溶けた材料が最終的に型に押し出され、冷却され製品になります。 

Q:押出機スクリューの構造はどうなっていますか? 

A:押出機スクリューは役割によって3つのセクションに分けられています。3つのセクションとは、「供給部」「圧縮部」「計量部」です。材料が投入された直後に通るのが「供給部」その後「圧縮部」「計量部」という順番で材料を前に送り出します。

Q:スクリューの役割は?

A :材料の加熱、溶融、圧縮、混練、押し出しをします。製品作りのプロセスを効率的に実行するために重要な役割を果たしています。 

Q:1本のスクリューにいくつもの役割があるってホント? 

  • 供給部(Feed Section): スクリューの供給部は、材料を押出機に供給する役割を果たします。この部分では、スクリューシャフトの先端が材料を取り込み、シリンダー内に送り込む役割を担います。
  • 圧縮部(Compression Section): スクリューの圧縮部では、材料がシリンダー内で圧縮されます。スクリューシャフトの形状や溝のデザインによって、材料は圧縮されて密度が高まります。この部分で材料の溶融が始まります。
  • 計量部(Metering Section): スクリューの計量部では、融解し圧縮された材料がシリンダー内で均一に分散されます。この部分は通常スクリュー全体の20%の範囲ですが、とても重要な役割を担っています。特に材料の混練によって添加剤を拡散します。また押出機から一定量の材料が押し出されるように調整されます。

これらの部分は一連のスクリューの機能を担っており、材料の供給、圧縮、および均一な混練と流れの制御に寄与しています。ただし、具体的な押出機の設計や用途によって、スクリューの構成や役割は異なる場合があります。

Q:スクリューの能力はどんなことに影響を受ける?

A: 押出機スクリューの能力は、以下の要素に影響を受けます。

  • スクリューの寸法と形状:スクリューの長さ、直径、螺旋形状などは、能力に直接的な影響を与えます。
  • スクリューの回転速度:スクリューの回転速度は、材料の溶融と混練の効率に影響を与えます。適切な回転速度を設定することで、材料を効果的に処理し、均一な押し出しを実現することができます。
  • スクリューの圧力:スクリューの圧力は、材料を押し出す力を提供します。
  • 加熱要素(ヒーター)の能力:ヒーターの能力は、材料を適切な温度まで加熱するために重要です。適切な加熱は、溶融と混練のプロセスを助け、押し出される材料の品質を向上させます。
  • 材料の特性:押出機スクリューの能力は、材料の特性にも影響を受けます。異なる材料は、異なる溶融特性や流動性を持っています。

これらは押出機スクリューの設計と操作において考慮される要素です。最適なスクリューの能力を実現するためには、これらの要素を適切に調整し、材料の特性と要求される製品の仕様に合わせて最適なパラメータを設定する必要があります。

Q:押出機スクリューにも種類がありますか? 

A:はい、押出機スクリューにも種類があります。以下は一般的な押出機スクリューの種類です。

  • シングルスクリュー(Single Screw):一本のスクリューシャフトを持つ押出機スクリューです。
  • ツインスクリュー(Twin Screw):二本のスクリューシャフトが平行に配置されている押出機スクリューです。 
  • コアスクリュー(Core Screw):内側のスクリューシャフトと外側のスクリューシャフトから構成される押出機スクリューです。 
  • バリアスクリュー(Barrier Screw):内部にバリアセクションと呼ばれる特殊な領域を持つ押出機スクリューです。 

実際にはさまざまな特殊なスクリューが存在します。 

Q:いろいろな種類があるんですね。それぞれ役割は違うんですか? 

はい、使用目的や材料の特性に合わせて、適切な押出機スクリューが選択されます。

  • シングルスクリュー(Single Screw):材料を押し出すために単一のスクリューシャフトを使用します。一般的にプラスチックの押出に使用されます。
  • ツインスクリュー(Twin Screw):二本のスクリューにより、より均一な混練や高い生産性が実現されます。特に高い混練性能が求められるプラスチックやゴムの押出に使用されます。
  • コアスクリュー(Core Screw):内側のスクリューが材料を押し出し、外側のスクリューが混練を行います。この構造により、より均一な混練や高い生産性が実現されます。
  • バリアスクリュー(Barrier Screw):バリアセクションは材料の流れを制御し、均一な混練や精度の高い押出を可能にします。特に色の変更や添加剤の均一な分散が求められる場合に使用されます。

Q:スクリューはどんな素材でできていますか? 

A:押出機スクリューの素材は、一般的には金属合金が使用されます。以下によく使用される素材の例を挙げます。 

  • ステンレス鋼(Stainless Steel): ステンレス鋼は耐食性に優れ、腐食や錆びに強い特徴を持っています。押出機スクリューに使用される場合、耐久性や耐熱性が要求される場合に適しています。 
  • 工具鋼(Tool Steel): 工具鋼は高い硬度と耐摩耗性を持つ鋼材です。押出機スクリューの耐久性を向上させるために使用されます。 
  • 合金鋼(Alloy Steel): 合金鋼は異なる金属の組み合わせで作られる鋼材です。耐摩耗性や強度が求められる場合に使用されます。 

押出機スクリューの素材は、耐久性、摩耗耐性、熱伝導性などの性能要件に基づいて選択されます。材料の選択は、押出プロセスの効率や製品品質に直接影響を与えるため、重要な要素です。 

Q:スクリューが使われる機械はどんなものがあるの? 

一般的には以下のような生産ラインで使われる機械の一部としてスクリューが使われています。

  • 押出機:押出機は主なスクリューの使用先です。プラスチックやゴムなどの可塑性材料を押し出してフィルム、パイプ、プロファイル、シートなどの製品を形成するために使用されます。
  • 混練機:スクリューは混練機にも使用されます。例えば、ゴムやプラスチックの混練機では、材料を均一に混ぜ合わせるためにスクリューが使用されます。
  • 造粒機:造粒機は、材料を粒状にするためにスクリューを使用します。例えば、プラスチックのリサイクルプロセスで使用されることがあります。
  • 搾汁機:スクリューは搾汁機にも使用されます。果物や野菜を押し潰し、液体を抽出するために使用されることがあります。
  • 圧搾機:圧搾機では、スクリューが材料を押し潰し、液体や固体を分離する役割を果たします。例えば、オイルや果汁の抽出などに使用されます。
  • コンベア:スクリューコンベアは、材料や製品を運搬するために使用されます。スクリューコンベアは、緩やかな斜面や管状の構造を持ち、材料を前方に送りながら運搬する役割を果たします。

これらは一部の例ですが、スクリューは幅広い産業やプロセスで使用されています。その役割に応じて、スクリューの形状や設計は異なります。

Q:現在と昔ではスクリューに変化はありますか?

A:使う素材が進化しているため、スクリューも時代によって形や溝の深さなど、その時代や用途に合うように変化しています。

  • 材料の改良: 現代の技術の進歩により、スクリューに使用される材料も改良されています。耐久性、摩耗耐性、耐熱性などの性能向上が図られ、より高い品質と寿命を持つスクリューが開発されています。
  • スクリューデザインの最適化: 押出機の設計や材料の要件に合わせて、スクリューデザインも最適化されています。形状、ピッチ、溝の配置などが改良され、材料の均一な混練、効率的な押出、品質の向上に寄与しています。
  • 制御技術の進歩: 押出機の制御技術も進歩しており、スクリューの回転速度、押出速度、温度などをより精密に制御できるようになりました。これにより、生産性の向上や品質の一貫性が実現されています。
  • 特殊なスクリューデザインの開発: 特定の材料や製品に対応するために、特殊なスクリューデザインが開発されています。例えば、バリアスクリューやコアスクリューなど、特定の目的や要件に合わせて設計されたスクリューが使用されています。

基本用語

旋盤

旋盤は、金属や木材などの材料を回転させながら切削加工を行う工作機械です。材料を固定して回転させ、切削工具を近づけることで、精密な形状や寸法を作り出すことができます。

汎用旋盤(普通旋盤、一般旋盤)

汎用旋盤は、金属や木材などの材料を回転させながら切削や加工を行う機械です。その名の通り、幅広い目的に使用できる汎用性が特徴です。

NC旋盤

NC旋盤は、自動化と柔軟性を組み合わせた先進的な工作機械です。工場の生産ラインや大量生産において特に効果を発揮し、金属加工業界などで広く利用されています。プログラミングスキルを持つオペレーターが必要ですが、高度な制御機能によって複雑な加工課題に対応し、生産効率と品質を向上させる役割を果たします。

マスターキャム

CADモデリングデータを基にしてNCプログラムを生成するための高機能なソフトウェアです。設計した部品や製品の寸法や形状を取り込み、自動的に最適な切削経路や工具パスを計算します。これにより、効率的な加工プロセスを実現し、生産性を向上させます。

CAD機能

CAD機能は、デザインや寸法に重点を置いた形状の作成が可能なソリッドとサーフェスを組み合わせたシステムを導入しています。これにより、複雑な形状や精密なデザインを簡単に作成することができます。また、CAM機能を使用することで、同時に5軸加工や複合加工のNCデータを作成することができます。これにより、どのような加工方法や業種にも柔軟に対応することができます。加工の方法や要件に制約されず、効率的かつ高品質な加工を実現することが可能です。

バイト切削

スクリューの中心軸(シャフト)に対して内径や外径の削り出しを行います。スクリューの材料を旋盤などの工作機械に固定し、バイトを使用して材料を回転させながら削り取ります。これにより、スクリューの内径や外径を正確に形成します。